ヒアルロン酸

自由診療

ヒアルロン酸とは?

ヒアルロン酸は皮膚においては真皮の細胞外マトリックス(細胞外に存在する超分子構造体)の一部として存在し(図1.2)、皮膚の保水力の保持などに関わっています。人体において他には関節や目の中の硝子体や脳などにおける細胞外マトリックスとしても広く存在しています。


図1:ヒアルロン酸の基本構造:ヒアルロン酸はこれらの構造のものが繰り返し連結している。

図2:ヒアルロン酸の電子顕微鏡写真
ヒアルロン酸の注入とは?

実際に注入するヒアルロン酸は見た目が透明のドロッとしたゼリー状のものです(図3)。これを極細の針を使い、真皮(皮膚の深いところ)から皮下にかけて注射することで、その部分を盛り上げていきます。具体的には額や眉間に表情を作っていない時に残っているシワを盛り上げて目立ちにくくしたり、法令線や口角から顎のラインにかけてできるくぼみ(マリオネットライン)などの部分を膨らませてなだらかにしたりする時に使用します。またヒアルロン酸の保水力を利用して、細かいシワが多く見られる領域全体に少しずつ注入していくことで肌全体のハリを出し、シワを目立ちにくくする際に使用することもあります。


図3 左:ヒアルロン酸(透明でゼリー状)
右:レディエッセ(色は白色でヒアルロン酸より硬い)
ヒアルロン酸はどのような部位に使うのが有効か?

表情の有無に関わらず存在するシワをぼかしたいとき
表情を作っていない時にも出来ている額の横ジワ、眉間の縦ジワ、目尻のシワや法令線などに対してヒアルロン酸注入を行うことで、シワの深さを浅くすることが出来ます。実際にどの程度までシワをぼやかせるかどうかについては元々のシワの深さ、肌の状態、表情に多さ、注入するヒアルロン酸などによって異なるようです。それとは別に笑った時に深くなる目尻のシワや目をしかめた時に深くなる眉間の縦ジワなどの表情を作ったときに出来るシワの改善にはボトックス治療が有効な場合もあります。

凹みを整えたいとき
加齢とともに下瞼と頬の間の凹みが目立ってきたり、上瞼の眉毛の下の部分が凹んできたりした場合にはヒアルロン酸注入の適応になる場合があります。また口角の下に出来る凹み(マリオネットライン)や加齢に伴い頬がこけてきた場合の治療にもヒアルロン酸注入が適応になる事があります。ある程度以上深い凹みの治療にはヒアルロン酸よりもレディエッセの方が適応になる場合もあります。

凹みが目立つキズ
キズの凹み具合、硬さによってはヒアルロン酸注入が適応になる場合がありますが、全ての凹みに対して適応になる訳ではありません。

ヒアルロン酸注入治療の実際

診察
シワや凹みの状態を実際に診察し、ヒアルロン酸注入の適応かどうかを判断します。

麻酔
ヒアルロン酸は注射器で注入します。針を刺す時の痛みを軽減するために注入を行うところに事前に麻酔テープを貼り、しばらく時間をおきます。すると皮膚の表面に軽く麻酔がかかり、処置を行う際の痛みが軽くなります。

治療開始
目的とする場所にマーカーで印を付け、注入を行っていきます。「注入」と聞くと処置中の痛みに対して不安を感じられる方が多いと思われます。この処置は「無痛」とは言えませんが、事前に表面に軽く麻酔がかかっていることと、かなりゆっくりと注入を行うので、多くの方にとっては「許容範囲内」のようです。ただし、痛みの感じ方には個人差があります。注入の効果は直後から確認出来ます。

治療経過
針を使って注入するため、注入範囲において3日前後の赤みや5~14日前後の部分的な内出血を生じることがあります。多くの場合はお化粧でカバー出来る程度のものです。
ヒアルロン酸は吸水性が強いため、一般的には注入直後よりも何日か経った後の方が治療した部位に「ハリ」が出てきます。それと共に周りの組織になじんできます。必要であれば2週間前後に追加注入を行うこともあります。その後は数ヶ月かけて少しずつ吸収されていきますので、経過を見ながら治療を継続される場合が多いです。