レディエッセとは?

レディエッセとは、一般的に良く知られている「コラーゲン」や「ヒアルロン酸」などと異なり、小さな粒子状にしたカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHA)と呼ばれる物質をキャリアジェルに混ぜて注射器で注入出来るようにしたものです(図1)。CaHA自体は以前より形成外科・整形外科・耳鼻科・歯科などの領域において広く使用されている医療材料です。これを法令線などの凹んだ部分に注入すると製品自体のボリュームによってその部分が膨らむので治療直後からその効果が実感できます。


図1:レディエッセ:白色で性状はゲル状です。ヒアルロン酸より硬めに出来ていますので、皮膚を持ち上げる力もより強いです。

また、注入されたジェルは3ヶ月ほどで、CaHA粒子は1年以上かけて皮膚の中で少しずつ吸収されていきますが、その間に体の中の線維芽細胞が注入されたCaHA粒子の周りに集まってきて、そこを足場としてコラーゲンを産生していくので、ヒアルロン酸注入に比べると治療の効果が持続している期間(治療した状態から元の状態に戻るまでの期間)が長く、12~18ヶ月とも言われています(図2~5)。


図2:注入直後の状態:CaHA粒子とキャリアジェルが充満している

図3:線維芽細胞がCaHA粒子の周りに移動してくる

図4:ジェルが吸収されるにつれて線維芽細胞がCaHA粒子を足場として定着し、コラーゲンを生成する

図5:CaHA粒子はマクロファージ(貪食細胞)によって少しずつ吸収されていく

レディエッセは硬くなったりせず柔らかいまま皮膚に残り、自然で若々しい表情を取り戻すことが可能ですが、皮膚の浅い部分に注入するのは適さないので深い法令線の治療など比較的大きな凹みの改善に使用されます。本製品はFDA※、CE※など10カ国によって承認を得ている安全性も高いものです。

※FDA = 米国食品医薬品局:日本の厚生労働省にあたる
※CE = 欧州地域における法的規制に対する 適合性表示マーク(制度)

レディエッセはどのような部位に使うのが有効か?

深い法令線やマリオネットラインをぼかしたいとき
皮膚の凹みを修正する力は、同じ量を使用した場合であれば、ヒアルロン酸よりもレディエッセの方が強いと言われています。よって、深くへこんだ法令線やマリオネットライン(口角の下に出来る凹み)の治療にはレディエッセの方がヒアルロン酸よりも効果的である場合が多いです。ただ、レディエッセは皮膚の比較的深いところに注入する必要があるため、これだけで浅めのシワまでも同時に改善させることは難しいことがあります。よって、かなり深い法令線でその一番凹んだところがくっきりとしたシワになっている場合には、最初にレディエッセを注入して全体を持ち上げることで凹みを改善させ、次に浅く残ったシワの部分にヒアルロン酸の注入を併用することもあります。

頬部の輪郭を整えたいとき
加齢と共に頬がこけてきたりすることがありますが、このような比較的大きめの凹みの改善にはヒアルロン酸よりもレディエッセの方が有効な場合が多いです。

アゴ先を整えたいとき
アゴ先の高さを出したり、へこみを整えたりすることにもレディエッセは使用できます。

レディエッセによる治療の実際

診察
シワや凹みの状態を実際に診察し、レディエッセの適応か、その他の注入剤や治療の方が良さそうかどうかを決定します。

麻酔
レディエッセは注射器で注入します。針を刺す時の痛みを軽減するために注入を行うところに事前に麻酔テープを貼り、しばらく時間をおきます。そうすることで皮膚の表面に軽く麻酔がかかり、処置を行う際の痛みが軽くなります。

治療開始
目的とする場所に印を付け、実際にレディエッセを注入していきます。「注入」と聞くと処置中の痛みに対して不安を感じられる方が多いと思われます。痛みの感じ方には個人差が大きいため、全ての人にとってこの処置が「無痛」とは言えませんが、事前に表面に軽く麻酔がかかっていることと、かなりゆっくりと注入を行うので、多くの方にとっては「許容範囲内」のようです。注入の効果は直後から確認出来ます。

治療経過
針を使って注入するため、注入範囲において3日前後の赤みや5~14日前後の部分的な内出血を来たすことがあります。多くの場合はお化粧でカバー出来る程度のものです。
一般的に注入されたレディエッセはキャリアジェルの吸収に伴い注入後3ヶ月ぐらいでややボリュームが減少しますが、その後しばらくはヒアルロン酸よりも長い期間安定した結果が得られます。必要に応じて追加注入を行うことも可能です。