形成外科とは?

形成外科とは?美容外科とは?美容皮膚科とは?

「形成外科」や「美容外科」という名称を最近ではテレビなどでも頻繁に耳にするようになってきましたが、実際にどのような事をする科であるかということについては世間一般的にはまだきちんとは知られていないように思えます。これらの相違点について少し説明したいと思います。

形成外科とは?

教科書には形成外科とは「先天性及び後天性の身体外表の形、色の変化、すなわち醜状を対象とし、これを外科手技により形態解剖学的に正常にする事により個人を社会に適応させる臨床医学の分野」と書いてあります。
この文章はかなり昔に書かれたものなので、簡単に説明しますと体の表面に表れる様々な形(外傷、でき物、生まれつきの異常など)・色調(アザなど)・機能(キズのひきつれ、痛みなど)の異常・変化を主に手術を中心とした治療手段を用いて治療することでより正常に近づけることだけでなく、患者様の精神的負担も軽減させることで社会生活の質(Quality of life: QOL)をも向上させることを目的とした科です。

美容外科とは?

一方、美容外科とは「体各部における表面の器官、組織(眼、鼻、顔面、皮膚など)の形状について、これに起因する精神的負担の軽減、除去効果も考慮し、この形状をより美的に形成することを目的とする臨床医学の分野」と書かれています。
つまりいわゆる「疾患」とはいえないが、患者様自身が気になっている体の表面の形状、色調の変化を主に手術を中心とした治療手段を用いてより美しく治すことで生活の満足度を向上させる事を目的とした科です。

形成外科と美容外科との違いは?

医療法上は形成外科と美容外科は各々独立した標榜科となっていますが、どちらも現在の体の状態を少しでも良く(美しく)なるように治療することで患者様のQOLの向上、機能回復、精神的負担の軽減を目指していると意味では同じ方向を向いております。よって、広い意味では美容外科(美容整形)も形成外科に含まれています。実際に形成外科できちんとトレーニングを積むことによって、美容外科でも必要な解剖学的知識、手術手技などの基本的な部分の修得は可能であります。両者の大きな違いは形成外科では健康保険適応になる場合が多いのですが、美容外科では保険適応にはならず、自由診療になってしまうところだと思います。

形成外科と美容皮膚科との違いは?

皮膚に疾患がある場合だけではなく、美容を目的とした皮膚科の診療分野です。皮膚の状態をより美しくすることを手術以外の方法で行っています。具体的にはスキンケア、にきび治療、あざの治療、シミ・シワに対するレーザーや注入治療などです。

整形外科と形成外科の違いは?

整形外科は日頃の生活の中で歩く、座る、ものを持つなどの運動をする上で支障となる病気を治療する科です。主に骨、関節、筋肉の疾患を扱います。形成外科は主に体の表面の見た目や機能を中心に治療する科です。
しかしこれは大雑把な分け方で、例えば顔の骨の治療は形成外科で行いますし、手足のゆびの疾患を形成外科で治療することもあります。

 
 

以上が簡単な説明になりますが、実際には「形成外科」、「美容外科」、「美容皮膚科」は互いを厳密に区別出来るものではありません。どれも皆様の「見た目」や「機能」をより良いものにするための医療を施すことを目的としているという点において目指している方向性は同じだと思っています。