ダーモスコープ(デルマトスコープ)とは?

デルマ医療社 Derma9500S-G

皮膚に「ホクロ」、「シミ」等がある場合、それらが悪いもので無いかどうかを診断することはとても重要です。診断は最終的には病変を切り取り、顕微鏡による検査をもって確定しますが、先ず肉眼で観察し、色合い、形や大きさからその良・悪性をある程度判断することになります。そして良性である可能性が高いと思われる場合は、術後のキズが出来るだけ短くなるように、病変ぎりぎりもしくは病変部の一部を切り取り、検査します。一方、メラノーマ(悪性黒色腫)が疑われる場合、病変部を取り残すことが無いように少々大きめに切り取る必要があります。実際には肉眼での診察だけではその判断に苦しむ場合が多々あり、そのような時は仮にメラノーマであっても対応が可能になるように病変部を大きく切り取らざるを得ない状況があります。

通常、皮膚表面の角質では光の散乱(乱反射)が起こりやすく、また大部分の光は表面で反射されるので、それより深いところの組織の情報は肉眼だけでは詳しく観察することは難しいです。ところが、この散乱光を超音波ゼリーや偏光フィルターで取り除くと、表皮および真皮浅層における色素分布の観察が可能になります。これは曇りガラスのざらざらした面が水に濡れると向こう側が透けて見えるようになるのと同じ原理です。

ダーモスコープとは表皮や真皮の浅いところの状態を詳細に観察するため皮膚表面からの散乱光を除去し、病変を明るく照らし、レンズを用いて拡大して観察することを可能にした機器です。これを使うことでさまざまな病変における色素分布構造の違いが明瞭に見えてきます。目で見ただけでは単に褐色や黒色にしか見えない「ホクロ」もダーモスコープを通して観察すると様々なパターンの模様からなることが分かります。疾患それぞれについて特徴的な模様が認められることから、それらを観察することで単に肉眼だけで診察するより精度の高い診断を下せるようになってきています。ダーモスコープは主に色素性病変に対してその威力を発揮し、特にメラノーマや基底細胞癌と母斑の鑑別には欠かせない機器になっています。