ボツリヌストキシン(ボトックス)

自由診療

ボツリヌストキシン(ボトックス)とは?

最近「ボトックス」という言葉をシワの治療などにおいて、しばしば耳にするようになってきましたが、実はこれは土の中などにいるボツリヌス菌が産生するボツリヌストキシンいう成分を製剤化した一つの製品の名称です。しかし「ボトックス」という商品が最初に登場したため、今ではこれがボツリヌストキシン製剤やその治療法に対してまでも使用されるようになってきています。

ボツリヌストキシン(ボトックス)の作用は?

筋肉は脳からの指令が神経を介して筋肉に伝わることで動き(縮み)ます。具体的には筋肉を動かそう(縮めよう)とした時に脳からその指令(刺激)が出て、それが運動神経と呼ばれる神経を電気信号の形で伝わり、神経の一番末梢(神経終末)に到達します。すると神経終末のシナプス小胞に蓄えられている神経伝達物質であるアセチルコリンが神経・筋接合部から放出され、それが筋肉に作用することで筋収縮が起こります。ボツリヌストキシン(ボトックス)は神経終末からのアセチルコリンの分泌を抑制するので、これが作用するとそこの筋肉は弛緩します(=縮みにくくなります)。この性質を利用して、額、目尻、眉間などの表情ジワの治療を行ったり、咬筋というエラの部分で歯を食いしばったときに膨らむ筋肉に注射することでエラの部分を小さくする治療を行ったりします。また腋に注射すると汗の分泌が抑えられるので、腋の多汗症の治療にも使われています。それに対して腋臭症・ワキガのにおいに対してボツリヌストキシン(ボトックス)注射はあまり有効ではありません。それはワキガのにおいの原因の一つのアポクリン腺という汗腺の働きはボツリヌストキシン(ボトックス)注射では抑えられないからです。
ボツリヌストキシン(ボトックス)を一度注射しても、その効果が見られる時間は、個人差はありますが、三〜四ヶ月前後と限定的です。時間が経つと運動神経線維から新しい運動神経の側副枝が伸びるため、新たにアセチルコリンの放出が始まり、注射の効果が薄れてきます。このため、ボツリヌストキシン(ボトックス)は基本的には三~六ヶ月に一度をめどに注入を続ける必要があります。

ボツリヌストキシン(ボトックス)はどのような部位に使うのが有効か?

表情ジワを目立ちにくくしたいとき
顔には表情筋と呼ばれる小さな筋肉が多数存在し、それらが複雑に動くことで様々な表情を作り出しています。顔のシワの多くはこれら表情筋が長年に渡り繰り返し作用した結果によるもので、代表的な物は目尻の横の俗に「カラスの足跡」と呼ばれるシワや眉間の縦ジワや額の横ジワなどがあります。ボツリヌストキシン(ボトックス)をそれらの筋肉に注射すると、目的の筋肉が動きにくくなり、目をぎゅっと閉じた時や眉をしかめた時などの様な表情を作ったに出来るシワが出来にくくなります。この施術は気になるシワごとに、それらの原因となる表情筋にのみ正確にボツリヌストキシン(ボトックス)を注射する必要があります。よって、治療に行う際にはそれぞれの表情筋が表面から見たらどこからどこに向かって位置するか、皮膚からどれくらい深さに走行するか、などのきちんとした解剖の知識が不可欠です。

・額のシワ
・眉間のシワ
・目尻のシワ

腋の汗が気になるとき
腋に存在する二種類の汗腺(汗を出すところ)のうち、エクリン腺と呼ばれ、水分主体のいわゆる「汗」が分泌する汗腺の作用はボツリヌストキシン(ボトックス)で抑えられます。つまり、腋にボツリヌツストキシンを注射することで腋の汗が抑えられるということです。効果の持続期間が個人差はありますが三〜四ヶ月前後なので、夏場の腋汗を抑えるために5,6月頃に注射を受けられる方が多いようです。一方、「ワキガ」の臭いの元になる汗が分泌されるアポクリン腺の作用はボツリヌストキシン(ボトックス)では抑えられないため、ワキガの治療には効果はあまり期待できません。

・ワキ多汗症に対するボトックス治療

エラ(下顎角)の出っ張りを減らしたいとき
いわゆる「エラ」が出っ張っている人はその部分の骨が外に向かって出っ張っているだけでなく、そこにある咬筋という筋肉が発達してためであることが多いです。咬筋とは口を閉じるときに働く筋肉で、奥歯をぐっと噛みしめると「エラ」の部分で硬く触れるものです。咬筋にボツリヌストキシン(ボトックス)を注射すると咬筋は縮みにくくなり、筋肉が少しずつ痩せてきます。結果として「エラ」の出っ張りが目立ちにくくなります。口を閉じるときに作用する筋肉は咬筋以外にも複数存在するので、咬筋にボツリヌストキシン(ボトックス)を注射しても口が閉じられなくなったりすることはありません。

・エラボトックス