耳介偽嚢腫(じかいぎのうしゅ)
保険診療
耳介偽嚢腫とは?
「耳介偽嚢腫」とは、耳の上半分に生じる嚢腫様のできものです。格闘技選手などが耳をぶつけたりした場合、外傷性耳介血腫と呼ばれる耳の皮下や耳介軟骨膜上に血腫(血の塊)を生じることがあり、中には血液が溜まります。しかし、耳介偽嚢腫では耳介の軟骨が二層に裂けていて、その内部にオリーブ油の様な粘液が貯留しています。
はっきりとした原因は明らかにはなっていませんが、固い枕・ヘルメットの使用や耳にもアトピー性皮膚炎のような慢性的な湿疹がある患者さんなどに生じることが多いことから、微少な外傷の繰り返しも誘因の一つと考えられています。
耳介偽嚢腫(耳の真ん中~上半分辺りが膨らんでいる) |
耳介偽嚢腫の治療は?
手術を行わない場合
やや太めの針を刺し、内容液が排出させると病変部が平らになります。その際にステロイドの局所注射を行う場合もあります。この方法は一見簡便に思えますが、非常に再発しやすいため十分な圧迫固定が必要になります。また、この方法だけで完治させるのは困難な場合も多いです。
内部に溜まった粘液を吸引しているところ |
手術療法
局所麻酔下に病変部に皮膚切開を加え、皮膚を丁寧に剥がしながら嚢腫を露出します。次に耳介軟骨の表に見える部分を切除し、内容液および肉芽組織をきれいに除去します。先に剥がした皮膚は戻し、丁寧に縫合した後に耳介の前面の皮膚が浮かない様に圧迫固定を施します。