ビタミンC

自由診療

ビタミンC(アスコルビン酸)

レモンなどの柑橘類を始めとする果物や野菜などに多く含まれるビタミンCは1927年にハンガリーのS.ジエルジーによって壊血病予防因子として分離されました。ビタミンCの薬理作用はコラーゲンの合成、副腎でのホルモン合成、体内に発生する活性酸素の除去、腸管での鉄吸収を高めることによる貧血の予防、ニトロソアミンの生成抑制作用によるがん予防効果など多彩です(図1, 2)。
肌に対する効果としては酸化型メラニンに対する還元作用、チロシナーゼ活性抑制、DOPAキノンをDOPAに還元することなどがあり、「シミ」や「くすみ」の色調の原因となるメラニンの産生を抑えることによる美白作用があります。
また紫外線照射により発生する活性酸素が真皮のコラーゲン線維の破壊、減少を引き起こし、シワの形成に関与していると考えられていますが、ビタミンCの活性酸素を除去する作用がそれらの肌の老化も防ぐ働きもあると言われています。
本剤は肝斑、炎症後色素沈着に対して処方します。肝斑に対してはビタミンCと後述するビタミンEをそれぞれ単独で服用するよりも、ビタミンCとEを同時に服用した方がその効果が高くなるという報告があるので、2剤を同時に処方することが多いです。通常、内服1~3ヶ月頃より改善が認められるようになりますが、肝斑の場合は内服を中止すると1ヶ月半~3ヶ月ぐらいで再び色調が濃くなることが多いので、特に紫外線の強い時期は長期間服用を行うことがあります。一時的な炎症後の色素沈着の場合、症状が軽快すれば内服は終了となります。しかし内服するだけでなく、実際には日焼け止めなどの紫外線対策や美白剤、生活指導なども十分行い、総合的に治療することが大事です。


図1)ビタミンCの錠剤

図2)ビタミンCの構造式