トラネキサム酸

自由診療

トランサミン(トラネキサム酸)

トラネキサム酸とは古くから抗炎症作用、抗アレルギー作用や止血作用を目的として風邪薬を始めとして各種の医薬品に配合されているものです。肝斑に対してもその有効性が報告され、現在では肝斑治療における選択肢の一つになっていて、市販薬(トランシーノ®)としても購入が可能になっています(図1, 2)。
肝斑の原因についてはっきりとは解明されていませんが、その一つとして、紫外線を浴びたり、妊娠したり、経口避妊薬を服用したりすると体の中のプラスミンという物質の活性が上がり、それが表皮にあるメラノサイトというメラニン色素を産生する細胞を刺激することでメラニンの産生が亢進(=メラニン色素が増える)し、色調が濃くなると考えられています。トラネキサム酸が肝斑にどのように効くのかについては正確には分かっていませんが、トラネキサム酸自体にはプラスミンの働きを抑える作用もあるので、これを服用するとメラノサイトに対する刺激を抑え、色調が濃くなっている部位のメラニンの産生が普通の状態まで抑えられるようになるのではないかと考えられています。
本剤は肝斑に対して処方を行います。通常、内服1ヶ月頃より改善が認められるようになりますが、飲むのを止めると1ヶ月半〜3ヶ月ぐらいで再び色調が濃くなることが多いので、特に紫外線の強い時期は長期間服用を行うことがあります。肝斑が紫外線、炎症やホルモンバランスの乱れで悪化、再燃することがあるので、トラネキサム酸を服用するだけでなく、紫外線対策、生活指導なども十分行い、総合的に治療することが大事です。


図1)トラネキサム酸の錠剤

図2)トラネキサム酸の構造式